糖尿病の症状・検査・診断
糖尿病の症状・検査・診断
血圧が多少上がっても、無症状であることはご存知の方も多いと思いますが、血糖値も同じです。
多少の血糖値の上昇では全く気づきません。
そのため、健康診断や人間ドック等で高血糖は発見されることが多く、その後、精密検査で「糖尿病」や「糖尿病予備群」と診断されるのです。
自覚症状がないからと言って、「糖尿病は大丈夫!」ではないのです。しかし、明らかな高血糖になると、話は違います。糖尿病特有の症状が出てきます。
糖尿病4大症状
その代表的な症状は4つです。
①口渇
②多飲
③多尿
④体重減少
血糖値がかなり高くなると、血液がドロドロになり、体内の様々なシステムの障害がでることにより自覚症状が引き起こされます。
「口渇」は、喉が渇いて渇いてしょうがない感じになります。水分を摂っても全然喉の渇きは改善されません。
当然、渇きが改善されないため、大量に水分を摂取することになるのです。1日5Lくらい飲むことも珍しくありません。これが「多飲」です。
ここで、飲み物として水やお茶ならまだいいのですが、喉が渇くからといって、ジュースやスポーツドリンクを飲んでしまうと、さらなる高血糖になりもっとひどいことになります。
そして、多飲の影響により、当然尿の回数、量ともに増えます。尿糖も増加することにより「浸透圧利尿」という現象が起き、さらなる「多尿」につながります。
そして、最終的に起こるのが、「体重減少」です。①~③の症状が続き、その後、急速に体重が減って来るようであれば赤信号です。すぐ受診しましょう。
糖尿病検査・診断
糖尿病の自覚症状は、あくまでも、かなり高血糖にならないと出ません。ほとんどの人は無症状です。
それでは、どうやって、糖尿病を早期の状態で発見するか、もっと言えば、糖尿病予備群の状態でいかに早く見つけることができるかです。
一般的な糖尿病検査は、健康診断や人間ドック等で行われる、空腹時血糖値とヘモグロビンエイ・ワンシー(HbA1c)の測定です。
血糖値は、早朝の空腹時血糖値が使われますが、前日の食事やストレスの影響を受けやすいため、測定条件により変動する難点があります。
その問題点を解決するのが、「血糖値の平均点」と言われるHbA1cです。
HbA1cは、測定前2-3ヶ月間の血糖値の平均点であり、昨日、今日の生活の影響は受けません。
これら2つの指標により、糖尿病の診断が行われるのが一般的です。
糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病 55(7):485,2012より作図
しかし、糖尿病予備群や初期の糖尿病では、空腹時血糖値やHbA1cが異常値にならないパターンがあります。
それが「食後高血糖」です。
糖尿病予備群や早期の糖尿病では、空腹時血糖値が上る前に、食後高血糖がみられることが多いです。
そのため、健康診断による空腹時血糖だけでは、初期の血糖値異常が見逃される可能性があります。
糖尿病が心配であれば、糖尿病専門施設で検査を受ける必要があります。
血糖値スパイク
最近、この食後高血糖のことを専門家の間では「血糖値スパイク」と読んでいます。
通常、インスリンが正常に働いていれば、食後の血糖値は、何を食べても飲んでも一定の数値内でおさまります。
しかし、インスリンが何らかの影響でうまく働かなくなると、食後の血糖値が言う事を効かなくなるのです。
スパイクの意味は、「尖った波形」であり、血糖値の動きをグラフにあらわすと、食後血糖値がそのようになることから名付けられました。
血糖値スパイクを見つける「糖負荷試験」
それでは、「血糖値スパイク」をどうやって見つければいいのか?
『糖負荷試験』です。
糖負荷試験とは、文字とおり、糖分を体内に吸収させることで、どのように「血糖値」が動き、さらに、それをコントロールしている「インスリン」がどのように変化しているのを見る検査です。
この検査のやり方は簡単で、朝の空腹時の状態で砂糖水(正確にはブドウ糖水)をコップ1杯ちょっとくらい飲んでいただきます。
その後、30分おきに(合計2時間)血糖値とインスリン値を測定し、その変動を見ることにより、血糖値スパイクが明らかになります。
また、なぜ、血糖値スパイクが起きているのかを、すい臓からのインスリン分泌力やインスリン抵抗性(インスリンの働き具合)を探ることで解明します。
食後の体調不良は糖尿病の前兆?
「食事をした後しばらくすると、急にだるくなったり、調子が悪くなったりするのはなぜ?」といった声がしばしば聞こえてきます。
これは、「低血糖」の可能性があります。
「なんで低血糖?!」という疑問が湧いてくると思いますが、簡単に説明すると、糖尿病の前兆の可能性です。
通常、2型糖尿病の発症は、急激になるのではなく、徐々に進行していきます。
最初の過程では、食後高血糖、いわゆる「血糖値スパイク」が起こり、その反動で、その後低血糖が起こるのです。これは、「すい臓が弱ってきた」証拠です。
だから、食後すぐではなく、何時間か経過したあとに低血糖症状が起こるのです。
これを調べる検査は、「糖負荷試験」です。
糖負荷試験で、血糖値および、すい臓からのインスリン分泌力を調べてみる必要があります。
食後の血糖値スパイクを放置すると、糖尿病へ進展する可能性が高くなります。
糖尿病4つのタイプ
糖尿病には大きく4つのタイプがあります。
① 1型糖尿病
② 2型糖尿病
③ 妊娠糖尿病
④ その他の糖尿病
これらは、同じ糖尿病でも治療方針が全く異なるので、きちんとタイプを見極める必要があります。
見極めが難しい方もいるので、専門医にきちんと判断してもらう必要があります。