糖尿病の正体
糖尿病の正体とは?
それは、ズバリ『すい臓の異常』です。
すい臓は普段どんな役目を担っているか?それは大きく2つです。
一つは、食べ物の栄養分を分解、消化するための「消化酵素」を分泌しています。
二つ目は「ホルモン」を分泌しています。そのホルモンの中の一つに『インスリン』とういう血糖値コントロールホルモンがあるのです。
もう少し具体的に言うと「血糖値が上がりすぎないようにするホルモン」です。
糖尿病は、この『インスリン』の分泌が、何らかの原因で分泌されなくなることで引き起こされるのです。
「血糖値コントロールシステム」
それでは、通常、血糖値はどうやってコントロールされているか、図を使って説明いたします。
血糖値とは、簡単に言うと血液内の「糖」の量です。わかりやすく例えると、「血管」という「タンク」の中に、どれだけ 「砂糖水」が溜まっているかというイメージです。
このタンク内の砂糖水が増えたり減ったりするのが、血糖値が 上がったり下がったりするというこになるのです。
それでは、タンクの砂糖水はどうやってコントロールされているか というと、砂糖水のタンク内への「流入」と「流出」です。
「流入」の手順は、口から食べた糖(米、パン、麺、その他)が 小腸から吸収され全て肝臓に集められます。
肝臓にたどり着いた糖は、体内で使用される「使用糖」と過剰に摂取されたものを貯めておく「貯蔵糖」に振り分けられます。
「使用糖」が肝臓から血管内(タンク内)に流入するのです。これが、タンクへの流入で、蛇口みたいなイメージです。こうなることにより、一時的にタンクの水かさが増します。いわゆる血糖値の上昇です。
一方、「流出」は、体内の様々な臓器で「使用糖」が消費されたり、取り込まれて蓄えられたりすることで、タンクの水かさが減るのです。
これは、排水口のイメージで血糖値の低下になります。
このように、タンク(血管)内の砂糖水の「流入」と「流出」がバランス良く保たれることで血糖値が安定しているのです。「流入」と「流出」は、体内の色々な臓器の連携が大事なのです。
「すい臓のインスリン」が主役!
体内の色々な臓器が連携し、血管(タンク)内の砂糖水の「流入」と「流出」をコントロールしてることがわかりました。
しかし、このコントロールシステムは、勝手に作動しているわけではないのです。ある重要なホルモンがコントロールしているのです。
それが、すい臓から分泌される『インスリン』です。
このインスリンが、体内を練り歩き、色々な臓器に働きかけることにより血管(タンク)内の「流入」と「流出」がコントロールされているのです。
インスリンは、言わば「糖の案内人」みたいなものなのです。このインスリンが、すい臓からしっかり分泌されかつきちんと働かないとコントロールシステムは機能しないのです。
そう考えると、血糖値コントロールシステムの主役は「すい臓」となるのです。
糖尿病発症!
通常、すい臓が正常に機能し、インスリンが分泌され、分泌されたインスリンが、きちんと働いていれば血糖値は安定しています。
ところが、何らかの原因で、システムに問題が起きると、血管(タンク)内の水かさが大きく上昇し始めるのです。
一番の原因は、「元々のすい臓の弱さ」です。いわゆる「遺伝」です。
食べすぎや飲みすぎや肥満はあくまでもきっかけであり、根本的な原因ではありません。根本的な原因は、「体質」です。
元々ダメージを受けやすい臓を持って生まれてきて、その後、様々な負担により、すい臓が弱ってしまってインスリンを分泌できなくなるのです。
「家族には糖尿病は一人もいないのになぜ?」という方もおられるかもしれませんが、糖尿病を発症するかしないかは、生きていく中で、どれだけすい臓に負担をかけたかが重要なのです。
昭和の時代のように、日本食が当たり前で、自家用車を持っている家庭も少なかった時代と、平成、令和のように、欧米食がメインで車は一人一台みたいな生活では、すい臓にかかる負担は全然違います。
糖尿病は一生治らないの?
結論から言うと「完治」はしません。しかし、治ったような状態にすることは可能です。
どういうことかと言うと、糖尿病は、すい臓が障害され、インスリン分泌に影響がでることにより発症します。この障害は、残念ながら完治することはありません。
しかし、この深い根本的な傷は消えなくても、早い時期に障害に気づき、早くすい臓への負担を排除すれば、傷を隠すことは可能なのです。
つまり、早期発見・早期治療することにより、一度糖尿病を発症しても、生活習慣の改善や日々の努力により、血糖値が改善し、薬に頼らなくても正常な人と同じような状態になれるのです。
わかりやすく言うと、生まれたときに、糖尿病という火種が体の中でくすぶっていて、そこに、「生活習慣の悪化」という油が注がれると、高血糖という炎が燃え上がるイメージです。
そして、消火作業を行って、大炎上は静まっても、火種が消えることはないということです。つまり、また油を注いだら燃え上がるということです。
ただし、きちんと消火作業を行って、燃え上がった炎は鎮火し、その後、油を注がなければ大丈夫ということです。
体に影響するのは、『火種』ではなく、あくまでも、『炎』であるということです。理想は炎を燃え上がらさないことです。